作成日:2024/06/12

分析白書(DeSCデータ分析事例) / 外部登壇資料

【2024年度 UW協会年次大会登壇資料】
死亡給付における告知項目ごとのUWエフェクト分析(難易度★★☆)

はじめまして。データサイエンス部の影本と申します。
前職の生命保険の商品開発アクチュアリーとしての経験を活かし、現在は DeSCデータ分析による生保商品開発や引受査定の課題解決のご支援をしています。
2024年5月に開催された日本アンダーライティング協会の年次大会に登壇し、告知書の各告知項目が死亡給付に対してどの程度UWエフェクト(選択効果)があるのかについて発表してきました。今回の記事ではその発表内容の概要を紹介します。

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死亡給付における告知項目ごとのUWエフェクト分析

  1. なぜ今回の分析をしようと思ったのか
  2. 今回の分析に利用したデータ
  3. 告知項目と抽出定義
  4. 結果
  5. まとめ

死亡給付における告知項目ごとのUWエフェクト分析

なぜ今回の分析をしようと思ったのか

リアルワールドデータ(以下、RWD)は10年ほど前に生命保険業界に登場しましたが、告知書の告知項目が死亡発生に与える影響をRWDで定量的に評価したエビデンスはまだ公表されていません(本記事作成時点の弊社認識)。また、保険会社では引受けていない集団の経験データがないため、告知項目や査定標準の検証も難しいと考えます。そのため、年次大会の発表ではRWDを用いて、保険会社の引受経験のない集団を仮定し、各告知項目が死亡発生に与える影響を定量的に評価する方法の例を紹介しようと思いました。

今回の分析に利用したデータ

DeSCが保険会社向けに提供するデータのうち、2015年4月から2022年3月まで観察可能な約400万人のデータを利用しました。また分析結果は60代の女性の結果のみを掲載します。 なお、保険会社の経験データとレセプトデータの生成背景の違いやDeSCデータの特徴、データの取得・加工方法は以下のページをご参照ください。

告知項目と抽出定義

今回は表1の6つの告知項目を用いて分析を行いました。また、6つの告知項目に対応する抽出定義も掲載しています。

表1 今回の分析に用いた告知項目と抽出定義

結果

6つの告知項目のそれぞれについて被保険者集団における死亡率、国民集団における死亡率、UWエフェクトのヒートマップを確認しました。
なお、本項目では「直近3か月以内の医療機関受診歴」のヒートマップのみ掲載します。

1. 直近3ヶ月以内の医療機関受診歴

国民集団から直近3ヶ月以内の医療機関受診歴がある集団を除くことによるUWエフェクトを図1の通り確認できます。右図のヒートマップはUWエフェクトの値が高いと赤色、値が低いと青色、ゼロ付近だと緑色になるように設定しています。
経過年数1〜3年ほどではUWエフェクトが大きく、それより経過年数が深いところでは0に近くなっています。

図1 直近3ヶ月以内の医療機関受診歴

2. その他の結果

「7日以上の入院歴」、「手術歴」、「特定疾への患罹患歴」はいずれも経過年数が浅いところではUWエフェクトがプラスとなり、経過年数が深いところではUWエフェクトが小さくなってく様子が確認できました。
「検査値異常有無」のUWエフェクトは一律にマイナスでした。「健診受診者かつ検査値異常あり」の死亡率の方が「健診未受診者」の死亡率よりも低いため、集団全体から「健診受診者かつ検査値異常あり」の集団が除かれたことで、残った集団の死亡率は除く前よりも高くなり、UWエフェクトがマイナスになったと考えられます。
「障害治療有無」のUWエフェクトはほぼ0でした。
この分析結果から、死亡給付については「検査値異常有無」や「障害治療有無」の告知項目は削減できる可能性がある、との示唆が得られたと考えられます。

まとめ

年次大会の発表ではRWDを用いて、告知項目が死亡発生に与える影響について定量的に評価する方法の一例を解説しました。

  • RWDは告知書の告知項目をある程度再現することが可能なデータです。
  • RWDは保険会社の引受経験のない集団を組成することが可能なデータです。
  • DeSCデータを用いることで告知項目が死亡発生に与える影響を定量的に評価することが可能です。
  • RWDを用いて分析することにより、告知項目の削減や引受基準の緩和の検討が可能です。
今回は各告知項目単体のUWエフェクトを確認しましたが、複数の告知項目の中における各告知項目のUWエフェクトを確認した分析も行うことができますので、それはまた別の機会に紹介させていただきます。


発表資料は以下よりPDFファイルをダウンロードください。

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